『ティファニーで朝食を』の原作・映画の違いとか著者の背景とか

『ティファニーで朝食を』の原作・映画の違いとか著者の背景とか

先日『ティファニーで朝食を』についてお勉強しないといけなくなったんですが、これが案外面白かった。

この作品って原作よりオードリー・ヘップバーン主演の映画の方がどちらかといえば有名だと思うんですが、今回のお勉強は原作メインです。(訳本じゃなくて全部英語のガチ原作の方を読んだ。つかれた。)

そして作品をただ読むだけじゃなく、映画との違いを比較したり著者についても結構詳しくやりました。

いつもは漫画やラノベばっかり読んでますが、たまには真面目に文学に触れるのもいいね!

ということで今回は真面目なお勉強記事です。

この記事を読めば…
  • 『ティファニーで朝食を』の原作と映画の違いがわかる
  • 著者のCapoteについてなんとなくわかる
  • そらまるの原作考察が聞ける()
CONTENTS

『ティファニーで朝食を』の概要

原題Breakfast at Tiffany’s
著者トルーマン・カポーティ(Truman Capote)
発表1958年

第二次世界大戦が始まってすぐのニューヨークが舞台になっている作品。

作家の卵である「僕」と娼婦のホリーを中心とした物語で、この「僕」っていうのがCapote自身を投影しているとも言われていますね。

2人が暮らす同じアパートはアッパーイースト70丁目という場所にあって、NYのシンボルであるセントラルパークを挟んだ東側に位置しています。

アッパーイーストはニューヨーク内でも特に高級住宅街として有名なエリアで、この作品だけじゃなくGossip Girl(ゴシップガール)Sex And The City(セックスアンドザシティー)の舞台になっていたりもします。

作品は中編小説なので、そこまで長くもなくサクッと読める分量。

使われてる英文も割と優しめ

もちろん英語がムリ!って方は日本語訳のもあるのでぜひ読んでみて。

原作(私が読んだのはこれ)

訳本

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以前『シスター・キャリー』を読んだときにも思ったことだけど、1900年代のアメリカって都会への憧れってのが凄まじく強くて、都会に出た女性がなんやかんやあるって文学作品が多いように思う。

『ティファニーで朝食を』のあらすじ

簡単なあらすじ!

物語は戦後10数年ほど経った時代から始まる。

「僕」がホリーとの共通の友人ジョー・ベルに呼ばれてバーで飲んでいると、アフリカで撮られたという写真を見せられる。

そこに写った彫刻がかつての友人ホリー・ゴライトリーにそっくりだったことから、彼女との昔話を思い出す。

~ここから回想~

「僕」がニューヨークのあるアパートに引っ越すと、そこにはホリー・ゴライトリーという女性が住んでいた。

ホリーは超騒がしい女で、年齢不詳ではあるが大人になりきってはいないような顔をしていた。(実際には19歳手前)

ブロンドでボーイッシュな髪型が特徴的だった。←これ結構重要


ある日男から逃げてきたホリーが「僕」の部屋に入ってきたことで急激に仲が深まる。

ホリーは毎週刑務所でマフィアのボスであるサリー・トマトと面会し、その証拠にサリーから聞いた天気予報を彼の弁護士に伝えることで50ドルもらっているらしい。

また彼女曰く「たちの悪いレッドな気持ち」(不安とかモヤモヤとか嫌な気持ち)になった時には、ティファニーに行くことで治まるということだった。

それから2人はパーティーしたりデートしたりするんですが、別に男女の仲になるわけではなく友達以上恋人未満といった感じ。


その後しばらくしてホリーはホセというブラジル人の金持ちと付き合うようになり結婚を考えるが、そんな最中サリー・トマトの麻薬取引に関与した疑いでホリーは逮捕されてしまう。

刑務所での面会は、トマトと外との情報伝達用にうまく使われてたってわけですね。

この騒動でホセに振られるが、手元には彼と乗るはずだったブラジル行きのチケットが。

ホリーはブラジル行きを決意、「僕」は荷造りなど国外逃亡の手伝いをする。

逃亡の日、ホリーは飼い猫を捨てるがすぐに後悔。探すものの見つからずそのまま旅立つ。


ホリーの旅立ちから数週間後、「僕」の元にホリーから手紙が届く。どうやらブエノスアイレスで素敵な旦那様(不倫)を見つけたらしい。

「住所が決まったら連絡するわ!」とか言ってたけど結局連絡は来ず。

その後しばらくして、「僕」はある家の窓辺であの猫を見つける。

あったかい部屋で幸せそうだ。

ホリーもこの猫と同じように自分の居場所を見つけられたのかな。

そうであって欲しいな~。

~完~

まとめるの下手すぎて長くなりました。

映画との違い

映画の冒頭にある、ティファニーの前でクロワッサンを食べるあの有名なシーン。

これは原作にないオリジナルなんですよ。

映画を見る前は「ティファニーの中で優雅に朝食を食べる作品なんでしょ!」ってイメージ(安直)だったんですが、

ショーケースの前でクロワッサンなの!? 思ってたのと違う!

しかも手袋付けたまま!油まみれじゃん…。

と心のなかでどうでもいいツッコみをしたことはさておき。

これ以外にもティファニーでの買い物シーンとか、映画オリジナルのシーンがいくつかあったりする。

原作と映画で最も異なるのはその結末。

映画では全体的にキラキラなNYでのロマンチックなラブコメ!最後はハッピーエンド♡って感じですが、さっきのあらすじを見てわかる通り原作では別に2人はくっつきません。

今はどこにいるかもわからないホリーのことを事を想っている「僕」視点で物語が語られるっていう、ちょっと物悲しいような感じですね。

あとはホリーの容姿とか設定についても結構違ったりします。これは次に書いていく。

ホリーの人物像の変更について

Photo: Frank Povolny/Twentieth Century Fox/Sunset Boulevard/Corbis via Getty Images

著者のCapoteとしては、映画のホリー役はマリリン・モンローに演じてもらいたかったみたいです。

小説の中でホリーの髪について「ブロンドでボーイッシュ」と言及されているので、確かにそう聞くとマリリン・モンローがぴったりな気もする。

あとホリーの娼婦であるという設定がなくなったこと、これは映画化では不適切とされたとか、オードリー・ヘップバーンの事務所からストップがかかったとかいろいろ言われてますが、恐らく前者が主な理由だと思います。

元々原作が女性誌に掲載される予定だったものの、娼婦っていう設定がまずいし天下のティファニー様に怒られそうってことで話がなくなり、結局Esquireという男性誌に掲載されたという経緯もありますからね。

ただ映画内で娼婦と断言されている訳ではないものの、冒頭のティファニー前での朝食シーン。

これ早朝にドレスで着飾った人がやってるってことは夜職の仕事帰り、つまり娼婦であるという事がゆるく示唆されてたりはします。

Capoteが伝えたかったことの考察

個人的にこの作品は、目前の富や名声よりも「自由」を追い求めた強い女性の姿をホリーという女性を通して描いたもののように思います。

猫の存在もホリーが投影されてますよね。

居場所がちゃんと見つかってないから名前がない。


なぜCapoteはこんな内容を書きたかったのかなと考えた時、彼の生い立ちが深くかかわっているんじゃないかなと考えた。

彼は幼少期今でいう毒親の元で育ち、2歳の頃からホテルに置き去りにされて両親は遊びにいっちゃうだとか、母は後に再婚してますが、実父は子どもに興味ない系の人だったようです。

あとはCapoteの仕草が女性的であることを嫌った母親に無理矢理軍事学校に入れられたり、しばらく田舎の親戚の家に預けられたりしていました。

そんな母親ですがかなりの美人で、Capoteが田舎にいる間NYで煌びやかな生活を送っており、時々会いに来る母親の姿を見て彼は憧れに似た感情を持っていたそうです。

あと作品に関係しそうなものとしてスワン達の存在がある。

「スワン」っていうのは社交界で知り合い交流の深かった女性達の総称で、容姿を武器に何度も資産家と結婚を繰り返し、成り上がった方が多いです。

Capoteが作家として駆け出しのころから彼女達と交流があったようで、表面上キラキラして見える彼女たちの裏側、社交界の闇についても聞いていたことでしょう。

ここまで簡単にCapoteという人物について書きましたが、

  • 孤独だった幼少期
  • 母親に対しての憧れ
  • 金持ち美女たちの苦悩

これらの経験から、何よりも自由を求めるホリーの人物像が出来上がったのではないでしょうか。

それでちょっと思ったのは、ホリーってもしかしてママがモデルなんじゃない?ってこと。

『ティファニーで朝食を』でのホリーはNYに出てくる際名前を変えてますが、Capoteの母親も再婚して都会に出る際に名前を変えてます。

地味なところですがそういう共通点もあったりする。

映画での改変についてCapoteはどう思っていたのか

映画ではラブロマンスになっちゃっててだいぶ原作とは違いますね。

こっちの方がハリウッド映画としてはウケがいいのかもしれないですが。自分が原作者だったらどう思うか…。

改変について実際にCapoteがどう思っていたかという事に関しては定かではないのですが、改変の度が過ぎてるんでたぶんあまりよくは思ってなかったんじゃないですかね。

自分の考察が合っているとは思わないけど、物語をああいう終わり方にしたのは何かしら伝えたいことがあって、それが映画ではある意味台無しになってるわけなので。

主演も本人の希望通りじゃなかったしな

まとめ

『ティファニーで朝食を』というとオードリー・ヘップバーンのイメージが強い!って方もいると思いますが、原作のハッピーエンドじゃない物語も結構面白いですよ。

王道過ぎないストーリーだし。

事前知識としてCapeteについてある程度知ってから読んだので、より作品を楽しめたんじゃないかなとも思います。

英語はしばらく見たくないけど、漫画でもアニメでも考察するってのは元々好きなので、作品について考えるのは楽しかった!


映画の大ヒットを受けてなのか、ティファニー本店では本当にカフェがオープン、ガチで朝食が食べれるようになってるみたいですね。

予約が戦争過ぎてなかなか入れないみたいですが!いつか行ってみたいものだ。

おわり!

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